和歌山県伊都郡かつらぎ町 世界遺産シンポジウム「祈りと共生の世界遺産」 岡野玲子記念講演会

待ちに待ったイベント

和歌山県伊都郡かつらぎ町
岡野玲子記念講演会
生、岡野玲子先生を拝める日が来るとは……



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まずは腹ごしらえから。

通り道にあった『二代目よなきや』に入る。
13時前に到着したけれど、すぐには店内に入れないくらい混んでいた。流行ってるラーメン屋はメニューの数を絞り、コレとコレがうちの推し!って明確にしてるところが多いけど、よなきやは目がまわるくらいメニューがあり(店内の壁は貼り付けられた品名でびっしり埋まってる)、どれにしようか迷う。

今日は土日しかやってないセットを頼む。
ラーメン&ミニチャーシュー丼
とんこつ醤油のラーメンはちょっと甘みのあるスープで、麺はストレートの細麺。背油のコクが旨みを利かせる。チャーシュー丼のチャーシューは甘めの煮付けだった。
外食するなら量を食いたいと思うんだけれど、ここのランチは800円しない値段で腹いっぱいになれた。

さてと……緊張してきた。



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思ったより広い会場は照明が落とされてて、撮ったすべての写真がブレ・ボケだったけれど、ちょっとでも雰囲気、伝われば。



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『陰陽師』の舞台が紀ノ川沿いだったり
晴明と博雅が馬を駆って水を修めていく旅路が
奈良から和歌山だったり
物語の背景やルーツ、創作秘話が、
岡野先生自身から
おしげもなく語られる

シャイでユーモアがあり、
控え目でありながら
ひめやかな情熱と才気を湛える語り口

「人前で話すのに慣れていないのですが、今日はツアーガイドのように話せたら!」とおっしゃっていた




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世界でもっとも憧れてるのが
漫画家という職能で生きてる人たちで
そのなかでも岡野先生は特別な作家

先生が登壇され
放心状態だったというか
恍惚としていたというか

『ファンシィダンス』も『妖魅変成夜話』も
『コーリング』も『消え去りしもの』も『両国花錦闘士』も
そして『陰陽師』も
愛読という言葉じゃまったく足らない
なんていうか……いや、だめだ、うまく言えない

うまく言えず
しどろもどろ
目をあわせてくれた先生を前に
「ずっとファンです」と言うので精一杯でした

会えたんです、岡野先生に

第二部のシンポジウムが閉幕し
先生がステージから降りていく
その後姿を眺めながら
こんなデカイ会場で 人もたくさんいて 先生は控え室に直帰したっぽい
とてもじゃないが……サインなんて絶対に無理だと思った
手持ちのノートにシンポジウムの印象をメモし
帰り支度を終えて席を立つと
人のまばらな客席
宴もたけなわな雰囲気が漂っている

かつてない時間の体験と
それが終わってしまったさみしさが沁みる

エントランスに出たら
立ってらした
岡野玲子先生が



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先生は数名のファンに囲まれ
サインや写真に応えてらっしゃる
お付の係りの方が
先生を控え室にはやく連れていこうとしてる様子
お邪魔してはいけない
畏怖と遠慮、急におとずれたチャンス、緊張に不安、爆発しそうな気持ち ―― 手のふるえが止まらない
でも、ここで一歩踏み出さなければ一生ものの悔いが残る
ノートやメモ、ペンを床にバラバラと落としながら接近し
「先生、ずっとファンです。サインいただけますか? 物販のところで本を買ってお願いしたいんですが、人だかりがあって購入して来てからでは遅くなってしまい、先生をお待たせするわけにもいかず、恐縮ですがこのノートにいただきたいのですが、サイン、お願いできますか」というようなことをもごもごと口走る。
極度の緊張でマスクを外すのも忘れていた……ものすごく怪しい人物だったはず

先生は「いいですよ」とにこやかに答えくださり、手渡したボールペンを右手に、ノートを左手に持たれた。

この右手で数々の傑作を物にしてきたのか ―― ほとばしるのか、ひかるのか、暗闇にインクの一滴を落とすようにか? あるいはすでにそうときまっていることをなぞるようになのか ―― 夢見心地というものがあるのなら、このときの感覚をいうんだろう。

初めに読んだのはファンシィダンスだったか、一〇年も二〇年も前に感激し、なんども読み返してきた作品への思い、先生への質問、さまざまな感情や言葉が込み上げるのに、なにひとつ言葉にならない。只、只、ワナワナと身震いし、そうと悟られないように気をつけの格好でいるぎこちなさ。

伝えたいことはたくさんあったのに
一言も言えず
息の根の絶えた枯れ木のような竦み

まぁでも
おれはファンの一人で
別にどうってことないよな
先生にとって
変に緊張して、アタフタして、先生に気を使わせるのは悪い
サインいただいたらサッと帰ろう

茫然とした意識の片隅で考え事をしていたら先生が仰った。
「 ―――――――― 」
え? なぜいま、おれに、その言葉を?
語りかけられた言葉とその意味、タイミングが頭のなかを廻り、先生はやわらかな眼差しでおれを見ている。
虚を突かれた感覚と名残 ―― ぽっかりあいた穴はいまも塞がらず
晴れたり明けたりが透けている


帰り路、夕空が燃えていた。

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